離婚届の証人について

本日は、離婚の証人についてご相談をいただきました。

これから離婚をされる方で、離婚届の作成をご検討されている方は、「離婚届の証人には誰になってもらったらいいのだろう?」と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実際、離婚届を作成するタイミングで誰に証人になってもらうかを悩まれる方は少なくありません。

今回は、
・そもそもなぜ証人が要求されるのか
・離婚届の証人欄に署名・押印をするべき場合について
・どのような者が離婚届の証人になれるか
・証人になるとどのような責任を負うか

について記載していこうと思います。

1 なぜ証人が要求されるのか

(1)離婚届が虚偽でないことを担保するため
 1つ目の理由として、離婚届の偽造をできる限り防止することがあげられます。離婚届の作成に第三者を介在させることによって、離婚届が全くの虚偽であったり、一方の配偶者によって勝手に作成されたものであったりするリスクをある程度低くすることが可能になるといえます。

(2)離婚に対する熟慮・覚悟を持たせるため
 また、証人2名の署名押印を求めることにより、当事者がその場の感情に任せて離婚届を提出したのか、熟慮のうえで離婚届を出したのかをある程度見極めることができます。
 両親や親族・友人などに依頼する場合には、離婚するという重大な決断・意思決定を身近な人に伝えることになるため、その場の感情で離婚届を出すことに対し、ある程度歯止めをかけることが期待できます。
 また、証人を近親者以外に頼む場合であっても、証人代行等に費用が掛かったり、第三者に離婚の事実を話したりすることが必要となるため、同様の効果が期待できるといえます。
 
 離婚の証人を検討するにあたっては、上記の理由から政策的に証人を立てることが求められているということを念頭におきながら、証人を検討するようにしていけばよいでしょう。

2 離婚届に証人の署名・押印が必要な場合とは

(1)証人の署名・押印が必要な場合とは?

・協議(話し合い)離婚の場合

この場合、証人が必要になります。必要な理由については前記のとおりです。

(2)証人の署名・押印が不要な場合とは?
・調停離婚の場合
・審判離婚の場合
・裁判離婚の場合

これらの場合、証人は不要とされます。これは調停や審判、裁判という第三者の介在が前提となっているため、あらためて第三者の介在は不要であるということです。

3 離婚届の証人になれるのはどんな人?
(1)証人になれるのは?

「成人」であって、「離婚の事実を知っている者」であれば、誰でも証人になれます。

したがって、ご両親や兄弟姉妹やご友人はもちろんなることができます。成人であればお子様もなることができます。
協議離婚の場合の離婚届の提出にあたっては、上記の要件を満たす「2名」の証人の署名・押印が必要となります。

(2)誰に証人になってもらえばいいか?

一般的には、ご両親やご友人というケースが多いようです。

(3)もし、証人になってくれる人がいなかったらどうすればいい?

もし、証人になってくれるような人が身の回りにいないといった場合や、
プライベートなことのため、身の回りの人には証人になってもらうことを頼みづらいという場合には、弊所までご連絡頂ければと思います。行政書士は職務上守秘義務を負っておりますので、安心してご依頼いただくことができます。

4 証人として署名・押印をした場合、どのような責任を負いますか?

そもそも離婚届で証人の署名・押印が必要とされるのは、離婚というのが婚姻関係という身分関係を解消させる重要な手続きであることから、当事者だけではなく成人の第三者が、
関係者の意思の証明をすべきものとされるためです。

証人としては、この署名・押印をしたからといって、原則として法的な責任を負うことはありません。